補聴器を着けるのは聴力が良い方の耳?それとも悪い方の耳?
おさるさん
もものすけ
おさるさん
もものすけ
補聴器の片耳装用の場合は聴力が良い方の耳に着けるのが原則
意外ですが補聴器を片耳装用する場合は、原則として聴力が良い方に補聴器を着けます。
補聴器を着用することを決心された方は、日常生活において会話やテレビなどの言葉が聞き取りづらいなどの場面で困っていることが多いと思います。
言葉の聞き取りという観点から言えば、聴力が悪い耳に補聴器を着けても、音量は上げることができますが、言葉を認識する際の明瞭度「語音明瞭度」は聴力の程度が軽いほどよいことが一般的です。なので、補聴器を片耳装用する場合は聴力が良い方の耳につけるのが原則なのです。
また、音響学的にも聞き取りやすい方の耳のみで情報はキャッチできるとされています。低音は音の波長が長いため頭を通過するので、反対側でもほぼ聞こえます。高音の場合は音の波長が短いため頭に邪魔されて、反対側の耳では20dBほど低下しつつも届きます。
そのため、あくまで語音明瞭度が高い方の耳でより聞きやすくするために補聴器を着けることを検討することになっているのです。しかし、日常生活の中で電話応対などが必要な場合や聞き手との関係など、明らかに不都合な場合は、逆側への装用等も検討します。
補聴器で両耳装用することによるメリット・両耳装用の正の効果
おさるさん
もものすけ
難聴の程度が重い場合や、どちらも同じくらい聴力が悪い場合は両耳に補聴器を着けることになりますが、片耳の聴力だけが悪い場合でも両耳装用をおすすめされることがあります。これはなぜでしょうか?
我々には左右に2つの耳がありますが、耳は2つあることを前提として様々な音を拾っています。左右両耳からの情報を脳の中で融合させ、片方の耳ではできない効果を発揮することを「加算効果」と呼びます。
例えば、両耳で同じ音を聞くことでより大きく聞こえやすくなる効果があります。これを「両耳加算能力」といいます。
また、物音に敏感に反応できるのは左右の耳から音の定位(音の発生場所)を感知することが出来るからです。これを「音源定位能力」といいます。
聞きたい音と騒音を区別する事ができる効果を「カクテルパーティー効果」「S/N比改善効果」といいます。
また、人間が持っている音を立体的に捉える「ステレオ効果」があります。映画館などで用いられているスピーカーシステムに「ドルビーサラウンド」というものがありますが、こうした臨場感ある音を再現する仕組みは、人間の持っているステレオ効果を最大限に使ったものであると言えます。
このように人間は単に音を捉えているだけではなく、左右の耳を効果的に使うことで、より聞きやすくなるような生まれ持った能力が備わっています。
こうした能力を最大限に活かすため、聴力が良い方の耳に補聴器を着用するだけではなく、両耳装用が望ましいとされています。
補聴器をどちらの耳につけるかについてのまとめ
- 聴力と語音明瞭度はある程度比例している
- 補聴器の片耳装用の場合は聴力が良い方の耳に着けることで効果がある
- 両耳装用をするメリットは聴覚能力を最大限に活かして聞こえやすくするため