聴覚障害のある当事者による、当事者のためのサービス
2019年2月7日「第10回大田区ビジネスプランコンテスト」授賞式に参加いたしました。
そしてメンバーのアイデアを形にした「聴覚障害者の逃げ遅れを防ぐウェアラブルデバイスによる情報提供サービス」が、大田区長賞およびさわやか信用金庫賞をW受賞いたしました。
大田区内には特別支援学校がある他、区内の難聴学級に通ったことがあるメンバーもいます。深いゆかりがあったことから今回ビジネスプランコンテストに応募しました。
今回のアイデアは現在開発中で、近い将来世の中に出して参ります。
なぜ、災害時の情報提供サービスに取り組んだのか?
このビジネスプランは度々ニュースにもなっていた障害者の施設利用拒否について、
「なぜ、このようなことになるのか?」メンバーの間で議論したことから始まりました。
聴覚障害者は身体障害者ではありますが、運動機能に大きな障害はありません。
そのため日常生活において段差や階段などが障害になることはありません。
しかしながら、現実として「コミュニケーションがとれない」ことによる壁も大きいのです。
こうした障害がある人を受け入れて万が一事故が発生したら施設は責任を取れません。
聴覚障害者の場合、火災報知器や館内放送がきこえない可能性があるのですから、
避難時に適切な対応を取ることが難しくなります。
現在は「合理的配慮」の努力義務が民間企業にも課されていますが、
非常時は健常者に通常提供できるはずのサービスをすら遂行できない中で、
障害のある人にどれほどの努力を講じることができるかというとほぼ不可能なのが現実です。
こうした根本的な問題を解決するためにはテクノロジーを活用しながら、
バランスの取れた負担で、最大限できる合理的な配慮がしやすいサービスが必要になります。
そこで、聴覚障害のある当事者でありながらエンジニアであるという我々の強みを活かしたビジネスプランを提案しようという事になりました。
災害時に逃げ遅れを防げて誰でも使えてわかりやすい方法はなにか?
既に家庭用には聴覚障害者向けの製品が販売されています。
それらは「光」や「振動」で情報を伝える火災報知器や目覚まし時計があります。
しかし、外出先という環境でこのような設備は手にはいりません。
また、スマートフォンのような機器は持っている人といない人がいることや、
使い方や設定方法がお年寄りには非常に難解であるために使えないのです。
そこで、我々はスマートウォッチに着目しました。
このスマートウォッチは腕時計でありながら、振動や文字で情報を表示することができます。そしてスマートフォンよりもシンプルかつ直感的である点が優れています。
このスマートウォッチを聴覚障害者による個人所有の福祉機器や、レジャー施設や宿泊施設の貸与機器として備えることで、大規模災害時には自動的に情報を発信したり、施設の警報などと連動した情報を発信します。
情報をシンプルに伝えるという点に機能を絞ることで
誰しもが直感的に緊急であることを理解することができます。
その上で、「何が発生したのか」「どうすればいいのか」といった、次に繋げる情報を文字やピクトグラム(シンプルなイラスト)で表現することで避難誘導します。
私たちのアイデアはシステムだけで問題を解決しようとするのではなく、あくまで人の力が最終的にいのちを守ることを前提としています。
しかしながら、聴覚障害者はまず何が起きているのかわからないということで、一歩出遅れ、周囲の様子を見て不安に感じています。
そのため、簡易的なツールであったとしても介助者や救助者が来るまでの一次対応が可能となり、障害に起因する事故や万が一のリスクを低減させることに繋がります。
さわやか信用金庫さんのニュースリリースでも取り上げられました
さわやか信用金庫賞を頂きましたさわやか信用金庫さんのニュースリリースでも、
みみなびの大田区ビジネスプランコンテスト受賞の様子を取り上げていただきました。
今後も、みみなびメンバーの様々な分野の知見や技術、そしてアイデアを形しながら、
真の意味でニーズのある取り組みを社会に発信していきます。応援の程よろしくお願い致します。