【きこえと障害】聴覚情報処理障害(APD)を分かりやすく解説します

聴覚情報障害とは?

聴覚情報障害とはなんでしょうか。みなさんは聞いたことがありますか?

この障害は遺伝や病気により耳および聴覚神経の機能がうまく動作しなくなるのではなく、
あくまで耳の機能は正常であるにもかかわらず、「聞こえない」障害です

医学的には、外耳・中耳・内耳に器質的(物理的に特定できる)な障害を認めないにも関わらず聞き取りにくさを訴える症状があります。

同様の症状には、機能性難聴があります。その中でもストレスが原因であると明らかなものは心因性難聴と呼ばれますが、すべての機能性難聴がストレスからなるとは限らないことに注意すべきです。

なお、繰り返しになりますが、この聴覚情報障害とは、感音性難聴(蝸牛にある感覚細胞(有毛細胞)の欠損や損傷が原因)・伝音性難聴(外耳から中耳までの損傷等が原因)難聴の両方とも異なります。

このような症例はしばしば感音性難聴と誤診され、不要な治療が施されたり、不適切な診断書が発行されることも少なくないとされています。

原因は不明です。中枢神経システムの障害や脳の損傷が原因であると推定されていますが、あくまで聴覚情報障害は何らかの原因によって生じた一つの症状であるという見方がされてます。

なお、感音性難聴と伝音性難聴については下記の記事も参考にしてください。

聴覚障害の種類はどれくらいあるの?

聴覚情報障害の主な症状

小渕によると「背景要因の半数以上は自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD・ADD)などの発達障害であり、その他にも精神疾患や心理的問題、複数言語環境下でのダブルリミテッドの問題などの多様な要因があり、これらに加えて本人自身の性格特性や聴取環境が加わり、聞き取り困難が生じていることが考えられ」るとされています。

同様の症状が現れる機能性難聴については、小泉らによると「10歳前後の前思春期の女児に多く、両側性の水平型感音難聴というのが典型的な聴力像」とされ、以下のような場面で聞き取りにくいという症状が現れます。

  • 多人数が話す場合など騒音下で音を聞き取りづらい
  • 音声提示された指示に対するしたがいにくさ
  • よく似た言葉の弁別しにくさ
  • 歪みのある語音の認知がむずかしい

その他、言語や認知に関しては特別の症状を呈さないことが知られています。

聴覚情報障害への介入方法

現在のところ医学的に統一した見解は確立していません。

しかしながら、学習障害や言語発達の障害を予防するために以下の方法があります。

  1. ノイズを低減する(騒音の抑制)
  2. シグナルを改善する(FM補聴器やスピーカーの使用)
  3. 音声以外の代替方法を用いる

また、心理学的な支援方法も有効である場合があります。その場合は臨床心理士等と協力しながら認知行動療法などの療法を模索します。

まとめ

聴覚情報障害はまだ十分に解明されている障害ではありません。しかしながら機能性難聴と診断されている人の中には、詳しい検査により聴覚情報障害であると判定される人も少なくはないのではないかと考えられます。

日常生活を過ごす上では、騒音の抑制、補聴器等の使用、文字情報の使用などを活用しながら、心理的な面からの支援も必要です。

この聴覚情報障害の原因は明らかにされていませんが、近年、脳の画像診断で聴覚情報障害のある人は脳の一箇所において血流の低下を示したなど新しい事実も解明されています。

今後、より一層の科学の発展と難聴者を支援する環境づくりが望まれます。

参考文献

参考 機能性難聴と聴覚情報処理障害一般社団法人日本言語聴覚士協会 参考 機能性難聴143例の臨床統計JSTAGE Otology Japan 参考 聴覚情報処理障害(APD)についてJSTAGE 音声言語医学 参考 聴覚情報処理障害(APD)が生じるメカニズムレデックス株式会社 参考 聴覚情報処理障害(auditory processing disorders, APD)の評価と支援医中誌Web

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