高齢者の補聴器利用を成功させるにはどんな要素を検討するべきか?

高齢者の補聴器利用における課題

補聴器を活用するために本当に必要なことは?

高齢者の補聴器装用にあたってはどのような課題があるでしょうか?

最も基本的な条件として、適切な補聴器調整がなされていることは大前提です。

補聴器のフィッティングはPCで自動的に行えるようになりましたが、
現実問題として人間の耳には聞こえ方に個性があります。

そのため、一般的に適切な調整とされていても、
一部の利用者にとってはとても聞きにくい、聞きつかれやすい場合があります。

補聴器の調整にあたっては基本は教科書どおりでも、
それぞれの個性によってどれくらい改善できるかを念頭においた上で、
適切な調整と利用者の方の納得を得るような対話を心がけなければなりません。

補聴器はつけたらすぐに聞こえるものではない

補聴器の装用を断念する理由の一つに、
「聞こえるようにならない」という訴えまたは、
「うるさすぎてつかいたくない」という声が挙げられます。

音というのは物理的な波として届くだけでは単なる音ですが、
脳ではその音を「解釈」して知覚しています。

補聴器を利用し始めたばかりは、
聞こえない状態に脳が慣れれてしまっているために、
どうしても突然、たくさんの情報が耳にとどいてしまうのです。

少しずつ聞こえない状態になっていることに気づかずに、
突然音が聞こえるわけですから当然「うるさい」と感じるのです。

一般的には補聴器に慣れるまでに3ヶ月程度かかるとされています。
それまでの間は少し不快かもしれませんが、
専門家と相談しながら少しずつ慣れるように心がけましょう。

高齢者の補聴器利用成功に関連する要因について

オーストラリアのクイーンズランド大学の研究者等によると、
高齢者の補聴器利用に関して、失敗した人のグループと成功した人のグループの、
それぞれでどのような要因が影響を与えたのかという研究があります。

多変量の回帰モデルを用いてグループに関連する5つの要因を示しました。

  1. 重要な人から大きなサポートを受けた人
  2. 補聴器を手に入れる前の日常生活でコミュニケーションが難しかった人
  3. 補聴器に対するより積極的な態度を持っていた人
  4. 補聴器を扱うに当たり高い自己効力感を持っていた人
  5. デバイスからより多くの利益を受け取っていた人

これらの要素を持っていた高齢者は補聴器利用に成功している可能性が高かったのです。
これらの結果からは非聴覚的​​要因に対処することの重要性が指摘されます。

日常生活で聞こえづらさに困りを感じている人が、
補聴器の利用にあたって家族や周囲の専門家から継続的に支援を受ることは大切です。

また補聴器も「誰かに無理やり勧められた」というよりは、
自分の意志で利用することを決断したほうが良いに決まっています。

自分で決めることによって補聴器に対するポジティブな態度になりますし、
補聴器を使いこなそうという意識が芽生えるからです。

こうして補聴器のメリットを存分に享受することができれば、
結果として補聴器の利用は成功し、家族や友人とのコミュニケーションも、
円滑にできるようになると言えます。

Hickson, Louise, et al. “Factors associated with success with hearing aids in older adults.” International journal of audiology53.sup1 (2014): S18-S27.

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