【解説】新生児の聴覚検査・聴覚スクリーニングについて

新生児の聴覚検査・聴覚スクリーニングはいつやるの?

新生児聴覚検査は生後7日以内に受けることを推奨

医療関係者向け新生児スクリーニングマニュアルが役立つ

これは主に医療関係者向けの新生児スクリーニングマニュアルですが、
親となる方々にもとても役立つ内容になっています。

まずは、こちらをご一読いただくことをおすすめします。


参考
新生児聴覚スクリーニングマニュアル ―産科・小児科・耳鼻咽喉科医師、助産師・看護師の皆様へ―日本耳鼻咽喉科学会

新生児は遅くとも1ヶ月以内に聴覚検査を受けましょう

可能であれば分娩後の入院中、
1週間以内に最初の聴覚スクリーニング検査を受診します。

また、自治体の助成がある場合は多くの自治体で、
「1ヶ月以内の新生児」という条件がついていますので、
遅くとも1ヶ月以内に聴覚スクリーニングを受けて下さい。

産婦人科や耳鼻咽喉科ならどこでも検査ができる、
というわけではない場合があります。

新生児聴覚スクリーニングは大きく分けて2種類

以前、みみなびコラムでも記事にいたしましたが、
新生児聴覚スクリーニングに使われる聴覚検査は、
一般的な成人が行うものとは少し異なります。

一つは自動ABR(自動聴性脳幹反応)とOAE(耳音響放射)の2種類があります。
どちらもよく使われる聴覚検査の方法ですが、
自動ABRは鼓膜から脳までの脳波反応を見て判定するため若干精度が高いようです。

詳しいことは以前Oh!みみなびの記事にしましたのでご覧くださいね。

【解説】新生児聴覚スクリーニングとは?2種類の方法が存在します

新生児聴覚スクリーニングは子供や大人の聴覚検査とは違う方法なので心配不要

先程すこし触れた自動ABRやOAEという方法を用いると、
生後間もない新生児に眠っている間に音を聞かせて、
脳波を測定することで聴覚検査ができます。

そのため、生まれてすぐに聴覚検査ができるのです。

大人の感覚で「聴覚検査なんてできないんじゃない?」と思う前に、
早いうちに新生児聴覚スクリーニングを実施することが大切です。

あくまで新生児の段階で、内耳・外耳、聴神経の障害がないか、
精密検査を行うためのスクリーニングなので、
「リファー」という再検査となると精密検査を受けることになります。

言語獲得の観点からも早いうちに判明することで残存聴力を活かし、
トレーニング等の方針を立てることができます。

新生児聴覚スクリーニング検査は希望しないとされないの?

分娩施設に入院中に聴覚スクリーニングを実施するところもありますが、
医療機関によっては必ずしも検査項目に含まれていないことがあります。

慶應義塾大学病院によると、現在では新生児のうち約70%が検査を受けています。

本来は全員が聴覚検査を受けなければならないのですが、
自治体によっては公費助成がされない場合があり、
保険負担分以外は自己負担となってしまうため100%とはいかないようです。

新生児の聴覚スクリーニングの費用はいくら?

静岡県富士宮市の場合、新生児聴覚スクリーニングの自治体公費助成は以下のとおりです。

  • 自動ABR法:4700円
  • OAE法:2100円

医療機関によって検査機器が異なるためどちらの検査になるかは変わってきますが、
おおよそ2000円から5000円程度の検査料がかかります。

自治体によって助成金が出る自治体と出ない自治体がある

富士宮市のように助成が出る自治体だけではありません。

財源確保が難しい自治体は助成を出すことができませんし、
その自治体の医療機関に必要な検査機器・検査担当者がいない場合は、
検査自体が近隣でできないことになります。

お住まいの自治体の公費助成制度をよく確認する

自治体によって対象となる新生児の時期が異なっていたり、
指定医療機関が定められていたり、
指定医療機関以外で受けた費用の償還払いを実施していたりしていなかったりします。

自分の親や友人がそうだったからと言っても、
自治体が異なれば(東京都の場合などは区が異なれば)
提供している助成制度に違いがあります。

新生児聴覚スクリーニングを受けられるかどうか、
そしてその費用は助成されるかどうかはお住まいの自治体に確認して下さい。

聴覚検査の結果再検査(リファー)になった場合

新生児聴覚スクリーニングでの再検査を支援につなげることが大切

再検査(リファー)となった場合でも、
聴覚検査であると確定されるわけではありません。

自動ABR法の場合約1%はリファー、
OAE法の場合はそれよりもリファーの判断が多くなります。

日本耳鼻咽喉科学会の発表によるとリファーとなった場合の、
最終的な難聴の割合は以下のとおりとなっています。

最初のリファー段階で慌てたり、勝手に精密検査を受けないなど、
自己判断すること無く、次の精密検査を受けることが大切です。

もし、支援が必要な場合は生後6ヶ月までに医師や言語聴覚士、
そしてきこえや言葉の教室の先生などと相談して支援方針を検討していきます。

まとめ

まとめ
  • 新生児聴覚スクリーニングは生後1週間以内を推奨
  • 遅くとも生後1ヶ月以内でないと助成がもらえない
  • 再検査となった場合は3月以内に精密検査を受ける
  • 聴覚障害が判明した場合、生後6ヶ月までに支援方針を相談する

Oh!みみなびでは「きこえ」についての情報格差をなくすため、
先天性・後天性の聴覚障害者(難聴者・ろう者)の当事者の体験談や、
聴覚障害児を育てる親の体験談等を今後も発信していきます。

ご相談や講演会の依頼等がございましたら遠慮なくこちらまでご連絡下さい。

参考リンク


参考
新生児聴覚スクリーニング日本産婦人科医会

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