ムンプス難聴とめまいについて医学的にわかってきたこと
おたふく風邪とムンプス難聴
おたふく風邪は医学用語では「流行性耳下腺炎(ムンプス)」といいます。
ここでは病気自体の名前を一般的な用語である「おたふく風邪」と呼び、おたふく風邪罹患後(病気にかかった後)に見られる難聴を「ムンプス難聴」と呼びます。
臨床の研究によってブレはありますが、おたふく風邪に罹患した患者さんの約100人〜1000人に1人に、難聴の症状が現れることがわかっています。例えば、厚生労働科学研究・特定疾患研究事業による調査では、「単一施設では 100~ 500ムンプス罹患に対して1件の難聴発生」と報告されています。
おたふく風邪に掛かった人のうち0.2%〜1%という割合で難聴の症状が見られるということになります。
ムンプス難聴とめまい症状
ムンプス難聴とは、流行性の耳下腺炎あるいはおたふく風邪を原因として、主に発熱と唾液腺の腫れ(腫脹)が生じ、合併症として起こりうる難聴の一つです。
ムンプス難聴の場合多くは「一側高度感音難聴」や「一側ろう」と診断されまますが、両側性の難聴が発症するケースも極めて稀に起こります。
耳鼻咽喉科の医学専門誌である「耳鼻と臨床」に掲載された信州大学医学部の研究では、ムンプス難聴と診断された患者さんの内40%にめまい症状の訴えがあり、53%の患者さんで平衡機能障害を認めたと報告されています。
この論文においても、結論として「ムンプスによる難聴・平衡機能障害の予防のために、ムンプスワクチンの摂取を広く普及させることが重要である」と結論づけられています。
ムンプス難聴の予防にはワクチン接種が効果的
おたふく風邪を効果的に予防するにはワクチン接種が必要です。
国立感染症研究所によると、有効性について接種後の調査では、ワクチン接種者の罹患率は1~3%程度であったと報告されています。
このおたふく風邪のワクチンは日本では任意接種ワクチンとされているため、接種費用が自己負担になります。費用はおおよそ1回あたり4500円〜6000円程度で、2度の接種が推奨されています。
任意接種であることからワクチンを接種していない人も多くいますが、副反応などのリスクを踏まえても、ワクチン接種によるメリットを享受し、重症化のリスクを抑えることができるため接種は有効な選択肢であると考えられています。
ぷよし田
ムンプス難聴によるめまいが深刻になると平衡機能障害に
平衡機能障害とは「平衡機能障害は、姿勢を調節する機能の障害であり、四肢体幹に異常がないにも関わらず起立や歩行に何らかの異常を来す」障害です。(障害者職業総合センター研究部門)
めまい症状などが原因となりしっかりと立つこと、歩くことが難しくなるのです。
ぷよし田
まとめ
ムンプス難聴はワクチンでリスクを減らすことができます。日本ではおたふく風邪ワクチンが任意接種になっているため、今後もムンプス難聴の患者さんが増える傾向があるのですね。
ワクチンを接種していない人がおたふく風邪にかかった場合、100人〜500人に1人の割合で難聴の症状(ムンプス難聴)が現れます。そしてムンプス難聴の患者さんのうち、40%の割合でめまい、53%という割合で平衡機能障害を生じます。
こうした障害を未然に防ぐためにもワクチンの重要性は強調しすぎることはないでしょう。
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