フランス発、聴覚障害のある子供に寄付できる「無音」の音楽アルバム
なぜ無音の音楽アルバムが聴覚障害者支援になるのか
理由はSpotifyの仕組みにあった
IDEAS FOR GOODによると音楽ストリーミングサービスSpotifyにて、
フランスのパリ国立若いろう者のための研究所(National Institute of Young Deaf People in Paris)
とエンジニアのDamien Quintardによる「無音」の音楽アルバム、
「D.E.A.F」が配信されています。
これらの音楽は全7曲でどれも無音。
しかし意味がないわけではなく、それぞれ意味のある、
空の7つのトラックで構成されています。
1ストリーム= 1寄付というシンプルな仕組みです。
このアルバムは日中、夜、中でも何度でも何度でもプレイしてほしいということです。
Spotifyは再生ごとに収益の一部がアーティストに還元されます。
この仕組みを用いてフランスの聴覚障害者支援研究の寄付を募っているのです。
私も実際に再生してみましたが、
本当に「無音」でした(笑)Spotifyはこちらからどうぞ!
ちなみにこの再生による寄付は、
聴覚障害者が最初のコンサートを聞くことができるように、
コンサートホールに振動システムを装備するのに使われます。
振動で音を聴覚障害者にも伝える仕組み
フランスでは10人の聴覚障害者の子どもたちのうち9人が、
補聴器を使っていますが、これらは決して音楽を聴くためには使われません。
そんな聴覚障害のある子どもたちに音楽を楽しんでもらいたいという思いから、
このプロジェクトを立案したということです。
日本でも富士通や落合陽一さんなどが「Ontena(オンテナ)」という、
音を振動で伝える装置を開発し、
実際にコンサート等で使用されています。
私も以前、「耳で聴かない音楽会 落合陽一×日本フィル プロジェクト」の講演会で、
オンテナを付けさせてもらったことがあります。
使い方は簡単で、スイッチをオンにして体の振動がわかるところに付けるだけ。
髪の毛に付けると繊細に感じ取れるようですが、
頭皮まで刺激がこないとあまり感じられないので、
胸ポケットなどに付けている人も多かったです。
音に反応して振動するとてもシンプルな仕組みですが、
「今、音がなっている!」ということに気づくことができるだけでも、
ワクワクするものがありました。
今回のフランスのプロジェクトではどのような世界が実現されるのでしょう。
無音の音楽Spotifyの音源はここから聞ける!
実際に、無音の音楽を聞きたいという方はこちらからどうぞ!
今日現在(2019/08/15)すでに30万回以上の再生がされています。
無音の音楽といえば4.33ですよね
「へぇー音楽聞くだけで寄付できるんだ!」
そう思っていただけるだけでも大変ありがたいのですが、
音楽好きとして取り上げたいのはジョン・ケージの「4.33」です。
そうこれも「無音の音楽」として現代音楽界に大旋風を引き起こしました。
実際に聞いてみてください。
無音ですね…
このジョン・ケージという作曲家は現代音楽界の破壊神と言えます。
複雑化する音楽に「それって違うよね」という一石を、
各方面から連続して飛ばし続けた人です。
Wikipediaの紹介も気のせいかもしれませんがぶっ飛んでいます。
ジョン・ミルトン・ケージ・ジュニア(John Milton Cage Jr.、1912年9月5日 – 1992年8月12日)は、アメリカ合衆国出身の音楽家、作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家。実験音楽家として、前衛芸術全体に影響を与えている。独特の音楽論や表現によって音楽の定義をひろげた。「沈黙」を含めたさまざまな素材を作品や演奏に用いており、代表的な作品に『4分33秒』がある。
「キノコ研究家」というインパクトが絶大ですね。
ジョン・ケージの音楽も今回の「D.E.A.F」も両方聞いてみてください!