【徹底検証】聴覚障害者に優しい動画配信サービスはどれ?vol.2
【徹底検証】聴覚障害者に優しい動画配信サービスはどれ?vol.1
聴覚障害者に優しいVODサービスの判断基準
前回に引き続き、聴覚障害者視点で選ぶ「聴覚障害者に優しいVODサービス」を検証します。
選定基準は以下の3つのポイントに致しました。
字幕付きコンテンツが豊富
最低でも字幕が付いていなければ聴覚障害者向きではないですよね!
日本のアニメやドラマには字幕が付いていないので、
アニメ専門チャンネルについては今回は検証対象外としました。
価格が財布に優しい
これは聴覚障害者に限ったことではないですが、
同じ作品を見るなら安いほうがいいですよね。
ということで判断基準の一つとします。
字幕への切替が再生中にできる
地味ながら重要だと感じたポイントです。
サービスによっては検索して再生してから、
「あ、これ吹き替えじゃん!」となることもしばしば。
そして字幕版を探してもなかなか出なかったり、
コンテンツ自体が見つからない場合もありました。
そのため字幕のオンオフが再生中にできることが大切だと思います。
聴覚障害者への配慮をしたコンテンツ作成基準がある
ここまで考えてコンテンツ配信をしている会社は?ですよね。
先日ご紹介したアメリカのクローズドキャプションのように、
コンテンツが作成される段階で、
聴覚障害者が視聴することを念頭に入れた作品作りがされれば、
会話だけではなく、作品を形作る情報が届きます。
果たして、各社の動画配信サービスはどうなっているのでしょうか?
今回の検証対象になるVODサービス
今回は2018年時点の日本国内でのVODサービスシェアランキングより、
dTV、U-NEXT、Netflix、Amazonプライムビデオ、Huluを検証します。
各判定基準において5段階評価で判定していきます。
それでは早速見ていきましょう!
字幕付きコンテンツの豊富さ
dTVのコンテンツ数は12万だがカラオケ多め
dTVはNTTドコモが運営するVODサイトで日本で最もシェアが多いです。
コンテンツ数も12万と多い方です。
ただ、このコンテンツの中にはミュージックビデオが含まれているので、
実際の作品数は他の同じくらいの数を公表しているサービスと変わらないと思います。
作品は日本のサービスだからか古いアニメも扱っています。
この辺りはNetflixやAmazonには扱いがない強みなのですが、
字幕がないと内容が理解できない聴覚障害者にとっては、
あまり必要ではないかもしれません。
ということで3点にしましょう!
U-NEXTのコンテンツ数は13万でバラエティ・ドラマ多め
ユーネクストは日本では現時点ではシェアNo.1のVODサービスですが、
NetflixやAmazonの猛追を受けています。
コンテンツ数は13万を超えますが、実質見放題なのは8万ほど。
しかしどのサービスよりコンテンツが豊富なのは事実です。
特に日本のバラエティ番組やドラマに強いですが、
韓流ドラマなどアジア系ドラマも配信が多いのが特徴です。
韓流ドラマなどは字幕付きですので、
聴覚障害があっても楽しめますね。
韓流好きには刺さると思うので4点!
Netflixのコンテンツ数は1万程度でオリジナルドラマ多め
外国のサービスですが世界ですでに7000万人が利用するNetflix。
世界一のVODサービスです。
その理由はオリジナルドラマの質が高く人気なこと。
普通の洋画も配信していますが、
米国では特にこのオリジナルドラマを見るために、
契約している人が多いんです。
外国の作品メインですので字幕付きがほとんど。
予め海外ドラマ用にと思って契約すれば、
「あとでがっかり」ということがないのは良いですね。
お得感はないですが人気コンテンツがあれば見ますので、
得点としては4点!
Huluのコンテンツ数は5万程度で海外ドラマに強み
世界的にはNetflixが1位ですが、
Huluは日本国内ではNetflixを上回るシェアを持っています。
それもNetflixよりも契約しやすい価格でかつ、
日本のコンテンツをたくさん扱っているからでしょう。
Huluの強みもオリジナルドラマが評価されている点。
あの「ゲーム・オブ・スローンズ」もHulu発のドラマです。
「ウォーキング・デッド」もすべてのシーズンが見放題。
オリジナルドラマとしてはなかなかのヒットメーカーです。
コンテンツ数とオリジナルドラマのクオリティ、
そして当然海外ドラマに強みがあるので字幕付きということで、
得点は5点!
Amazonプライムビデオのコンテンツ数は3万で映画に強み
AmazonのVODサービスプライムビデオも近年勢力拡大しています。
NetflixやHuluを追いかけるようにオリジナルドラマも配信し始め、
もともとの強みである映画配信も安定感があります。
映画は見放題のものは実は少ないのですが、
数百円でみられることが多いのでついつい購入してしまいます。
また、日本独自コンテンツやアニメの配信も力を入れてます。
コンテンツ数で言えば少ないですが、
バランスの取れた作品ラインナップということで4点!
VODサービスの価格は財布に優しいか
dTVの価格
dTVは月額500円というお買い得なお値段です。
これなら「とりあえず加入した」という人が多いのもうなずけます。
点数は5点。
U-NEXTの価格
U-NEXTは月額1990円です。
作品数だけ見れば妥当な金額のように感じますが、
dTVと比較すると高く、オリジナルコンテンツはないので、
強みとしてはすこし弱いかもしれません。
点数は3点。
Netflixの価格
Netflixの価格は画質別に分かれています。
ベーシック :800円
スタンダード:1,200円
プレミアム:1,800円
ベーシックはいわゆるSDレベルの画質です。
スマホで見る分にはそこまで気になりませんが、
やはりHDが主流の現在はスタンダードをおすすめします。
点数は4点。
Huluの価格
Huluは月額933円です。
コンテンツ数から言えばお買い得ですね。
またオリジナルドラマも充実しているので、
かなりお買い得感はあるのではないでしょうか。
点数は5点。
Amazonプライムビデオの価格
プライム年間会員が4900円なので月額409円です。
こうして考えればお買い得感はとても高いですね。
またAmazonプライムビデオはプライム会員限定のサービスですが、
映画やドラマ、アニメがみられるだけではないんです。
Amazon Musicで聴き放題の音楽が100万曲、
Amazonの電子書籍の一部も読み放題です。
またAmazonのお届け便が最短翌日着という、
お買い物好きにも楽しいサービスです。
VODとは関係ありませんがお買い得感としては高い!
ということで5点。
字幕の切替が再生中に可能か?
dTVは作品再生中に切替ができる
Q.再生中に[字幕/吹替]の切り替えはできますか?
A.再生中、画面下部にコントローラーを表示し、十字キーの上を押下後、
字幕・吹替のいずれかをお選びください。(リンク)
U-NEXTは再生中に切り替えできる
再生画面右上の「字幕」「吹替」ボタンを押してください。
※「字幕」「吹替」ボタンが表示されていない場合は、
リモコンの十字キーを操作すると表示されます。(リンク)
Netflixも再生中に切り替えできる
Netflixでは、たくさんの映画やドラマの字幕、キャプション、
副音声の設定を有効または無効にすることができます。
お客様が希望する言語の音声と字幕で視聴可能な映画やドラマに関しては、
netflix.com/subtitlesでご確認いただけます。
(リンク)
Huluは再生中に切り替えできる
1. 作品の再生中に、リモコンの下ボタンを選択します。
2. シークバーが表示されますので、再度リモコンの下ボタンを選択します。
3. [歯車マーク]を選択します。
4. [字幕ガイド]にチェックを入れます。(リンク)
Amazonプライムビデオは切替不可
Amazonプライムビデオではなぜか吹き替えと字幕を別作品としています。
プレイヤーの機能が増えてしまうからかもしれません。
字幕版と吹替版
字幕版と吹替版 Prime Videoストアでは、字幕版および吹替版のビデオを取り扱っています。
字幕版は「(字幕版) 」、吹替版の場合は「(吹替版)」とタイトルの横に表示されます。
(リンク)
聴覚障害者に配慮したコンテンツ作成基準の有無
dTVは特段の記載なし
dTVは日本のコンテンツが多いので、
あまり字幕が付いていないものもあります。
聴覚障害者に配慮したコンテンツ作成基準はなさそうです。
U-NEXTは特段の記載なし
U-NEXTも日本のコンテンツが多く、
字幕がついていないものも多いです。
聴覚障害者に配慮したコンテンツ作成基準もなさそうです。
Netflixはクローズドキャプションについて作成基準を明示!
Netflixはなんと公式のパートナーヘルプセンターに、
クローズドキャプションに関するガイダンスを明示しています。
そこでは「字幕とクローズドキャプションはメインアセットとみなす」としています。
なぜ、字幕とクローズドキャプションが必要と考えているのでしょう。
Netflixは外国語の会話を理解したいユーザー、聴覚障害者のほか、
騒がしい環境でコンテンツを見るユーザーなどひとりひとりの好きな時間に、
コンテンツを楽しめるようにするという考え方があるんですね。
こうしたあらゆるメンバーと場所でメディアを視聴できるようにするために、
字幕とクローズドキャプションが非常に重要であると明記しています。
質問: なぜ字幕とクローズドキャプションに関するNetflixの基準はここまで厳しいのでしょうか?
回答: Netflixにおいて、字幕とクローズドキャプションはメインアセットとして扱っています。字幕とクローズドキャプションは、これまでサブアセットとみなされてきました。 Netflixの技術仕様でさえも、字幕とクローズドキャプション (タイムテキスト) をNetflixへの納品が必要なサブアセットとして記載しています。 しかし実際は、世界中にいる数百万人のNetflixメンバーにとって、タイムテキストファイルはメインアセットなのです。
タイムテキストファイルは、外国語の会話を翻訳したり、聴覚障害者にコンテンツを楽しんでいただくために必要なだけでなく、周りの音が騒がしい環境でコンテンツを観られるようにするためにも必要です。 モバイルデバイスの急速な発展により、お気に入りの映画やTV番組を楽しむためにリビングルームは必要なくなりました。 Netflixは、メンバーひとりひとりの好きな時間にコンテンツを観られるようにしています。また、字幕により、メンバーは静かな状態やヘッドフォンがなくてもコンテンツを楽しむことができます。 タイムテキストファイルはNetflixサービスにとって最も重要であるだけでなく、リビングルームをエンターテインメントの必須条件とせずに、世界中のあらゆる場所でメディアを視聴できるためにも非常に重要です。
(リンク)
Huluには特段の記載なし
Netflixと同じ米国発のVODサービスであるHuluにも期待しましたが、
残念ながらクローズドキャプションに関するポリシーはありませんでした。
Amazonプライムビデオにも特段の記載なし
Amazonプライムビデオにもポリシーはありませんでした。
聴覚障害者に優しい動画配信サービスのまとめ
聴覚障害者に配慮あるサービス一覧表
今回は聴覚障害者視点で優しいVODサービスを探しました。
どのサービスもやはり健聴者をメインの対象にしているので、
VODサービスプロバイダとして特別の配慮をしているところは少ないです。
しかしNetflixは驚きでしたね。
米国の企業だけあってユーザーの背景をうまくカバーして、
ポリシーとして徹底するところが強みの源泉になってるんでしょう。
かなり私感で点数付けをしていますので参考程度ですが、
字幕オンオフやポリシーはありで加点3点とします。
dTV | U-NEXT | Netflix | Hulu | Amazon プライムビデオ |
|
字幕付きコンテンツ | 3 | 4 | 5 | 4 | 4 |
価格 | 5 | 3 | 4 | 5 | 5 |
字幕オンオフ | あり | あり | あり | あり | なし |
クローズドキャプションポリシー | なし | なし | あり | なし | なし |
総合評価 | 11点 | 10点 | 15点 | 12点 | 9点 |
ということで、結果Netflixが一番聴覚障害者に優しいVODサービスとなりました!
まとめ
私はAmazonプライムビデオのユーザーですが、
字幕オンオフができないことが他のサービスと大きく差を付けてしまいました。
「初めから字幕ありのものだけ選べばいいやん」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
一度、再生を停止してまた新しく別の作品として再生し直すのは大変、
また、聴者と一緒に見るときは途中でも吹き替えにしたいということもありますよね。
DVDでもできるのでぜひAmazonもできるようにしてほしいなぁと思います。
そしてNetflixはコンテンツ数だけ見れば弱いのですが、
やはり世界一のVODサービスたるゆえんは徹底したユーザー思考にあるんでしょう。
決して障害者のためというだけではなく、
世界中のユーザーの置かれた環境を想像した上で、
字幕やクローズドキャプションがしっかり整備されている作品だけを、
配信するというその心意気がサービスの品質に直結しています。
オリジナルドラマが人気なのもその作品のクオリティへの追求が、
多くの視聴者を引きつけているに違いありません。
ということで、Netflixをべた褒めしていますが私はまだ加入していません。
しかし、ぜひ使ってみたいと思えるVODサービスになりました!