【問題点】災害における聴覚障害の情報格差の問題(東日本大震災)

東日本大震災における聴覚障害者の死亡率は全体の2倍|災害における情報格差の問題

災害時に聴覚障害者が困ること

財団法人 全日本ろうあ連盟が発表している「聴覚障害者災害時初動・安否確認マニュアル」に以下のような記載があります。

NHK福祉ネットワーク取材班による東日本大震災で深刻な被害を受けた沿岸部 30 市町村の集計によれば、総人口に対する全体の死亡率は 1.03%でしたが、障害者の死亡率は 2.06%、聴覚障害者の死亡率も 2.00%でした。つまり、聴覚障害があると死亡する確率が一般の2倍となっていたというのです(『ノーマライゼーション』2011 年 11 月号)。

引用元:「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年11月号

聴覚障害者は音が聞こえない、もしくは聞こえにくいことにより緊急時に逃げ遅れることがあります。
災害時にはサイレンや放送による避難指示が出されますが、そういった音声情報は届きません。

その結果として、上記のように災害時に逃げ遅れる人が多かったと推測されています。
もしもの災害時に聞こえない人・聞こえにくい人が困ることとして以下の状況が挙げられています。

  • 防災無線や広報車、館内アナウンスの声が聞こえない
  • テレビに、字幕・手話がないと災害のようすがわからない
  • 避難先で、物資や食糧の配給など、大切な連絡や情報が伝わらない
  • ほかの人から見て、聞こえないことがわからないので、声をかけられても「知らん顔をしている」と誤解されることがある
  • 夜間に停電になると、手話や筆談で話すことができず、とても不安になる

このように健聴者(耳が聞こえる人を指す)では普通に入手できる情報が欠けやすく、
避難ができたとしても、その後の指示を聞くことができなかったり、
テレビ等から情報を入手することが難しかったりすることで、非常に不安な状況に置かれます。

聴覚障害者の災害時に困ることを動画で知ろう


この動画では、聴覚障害者自身が災害時に困ることについて紹介しています。
普段、何気なく使っている耳からの情報は大きな役割を果たしていることがご理解頂けるでしょう。

防災無線、避難指示はもちろんですが、風や物音、車の音で危険を回避したりすることが難しかったり、ラジオ・テレビ等の情報から情報を得ることが難しいなど様々な場面で聴覚障害者は困難にあたります。

災害時に聴覚障害者と周囲の人はどうすればいいのか?

まず、聴覚障害者自身は避難グッズ等に懐中電灯などを常備し、
いざという時に自らの存在をアピールできる機器を備えることが身を守ります。

次に、聴覚障害者であることを周囲の人に知って貰う必要があります。
そうでなければ、必要な情報を健聴者側から提供することが難しいからです。

日常的には近所の人に聴覚障害者であることを知ってもらったり、
普段から軽い近所付き合いをしておくことで、災害時に声をかけてもらえたりしやすいでしょう。
また、避難所等ではビブス等を用いて聴覚障害があることを明示したりする試みが行われています。

聴覚障害者らしき人を見かけた際は声をかけよう

また、聴覚障害者は周りの人の状況を見ながら行動することが多いです。
聴覚障害があることを周囲の人が認識している場合は声をかけてくれることがありますが、
聴覚障害者らしき人がいる場合は声を掛けて頂けると助かります。

聴覚障害者に対して自治体ができることとは?

聴覚障害者への防災・災害情報の伝達のため、
自治体によっては文字情報配信機器を貸与するところもあります。
例えば島根県出雲市ではデジタル式行政無線として個別受信機を貸与しています。

その他、災害時に備えた整備として全日本ろうあ連盟は以下の4点を挙げています。

  1. 防災・災害情報の伝達体制の整備
    災害時の聴覚障害者への情報発信には携帯電話や文字付防災無線などの緊急発信システムの整備が必要です。
  2. 聴覚障害者支援のための福祉制度の充実が重要
    手話通訳者の設置・派遣、要約筆記者派遣、盲ろう者通訳・介助者派遣などのコミュニケーション支援制度、聴覚障害者情報提供施設、ろう重複障害者やろう高齢者のための支援施設の整備が重要です。
  3. 聴覚障害者情報提供施設の整備
    全都道府県に聴覚障害者情報提供施設を設置し、災害時に救援の核となるように場所や人員、情報機材等を提供できる体制にすることが重要です。
  4. 地域社会の福祉力向上を
    当事者である聴覚障害者団体や手話サークル・要約筆記サークルなど関係団体、地域住民との“つながり”の形成が重要です。

まとめ

最近ではスマートフォンなどの情報端末が普及したことから、
必要な情報を受け取れる機会も増えてはいます。

しかしながら、地元の情報や緊急性の高い情報などはスマホでは見ることができません。
命がかかっている災害時の初期行動が適切に取れて、避難先でも安心できるよう、
福祉機器の積極活用はもちろんのこと、周囲の人に助けを求められるような関係づくり、
そして聴覚障害者のネットワークをより密に構築していく必要があります。

参考資料

参考 聴覚障害者の方が災害時に困ることをまとめた動画が話題に!「こんな風に困るのか!」と認識が広がるTLTogetter 参考 聴覚障害者 災害時初動・安否確認マニュアル一般財団法人全日本ろうあ連盟

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