【解説】聴覚障害者全員が聴覚障害者標識をつけるわけではないって知ってた?

聴覚障害者全員が聴覚障害者標識をつけるわけではないって知ってた?

聴覚障害者標識って知ってますか?

初心者マークの正式名称は「初心運転者標識」聴覚障害者標識は?

みなさん、「初心者マーク」を知っていますよね。

この初心者マーク(若葉マーク)は免許をとった人なら誰しも一度は通る道、
そのためどんな人でも知っている有名な運転者標識です。

ちなみに「標識」というのは「区別するための印」と言う意味なので、
必ずしも「交通標識」だけに限らないのです。
初心者マークもまた「標識」というわけです。

こうした標識は「運転者標識」と呼ばれています。

聴覚障害者標識は「ちょうちょのマーク」と覚えよう!

それでは聴覚障害者標識はどのようなマークなのでしょうか。
実は、こんなマークです。

警視庁- https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/kotsu/mark/mark.html

「緑の丸にちょうちょのマーク」ですね。

この聴覚障害者標識を付けなければならないのは、「普通自動車を運転することができる免許を受けた人で、
政令で定める程度の聴覚障害のあることを理由に当該免許に条件を付されている人」です。

具体的には「補聴器を用いても10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえない方」が該当します。

眼鏡をつけている人は眼鏡やコンタクトレンズを付けた矯正視力で0.7以上の場合、
運転することができる免許を取得できるのと同様に、
聴覚障害者で補聴器を付けても10mで90dBの音が聞こえない場合はこのマークの掲示が義務付けられます。

聴覚障害者と免許に関して知っておきたいこと

聴覚障害者標識をつける場所は決まっているの?

はい、決まっています。
まず、表示対象自動車は、普通自動車(軽自動車も含まれます。)です。

表示位置は、車体の前面と後面の両方に、
地上0.4メートル以上1.2メートル以下の見やすい位置に表示してください。

前と後ろに付けなくてはならないので注意してくださいね。

聴覚障害者標識は聴覚障害者なら表示する義務があるの?

聴覚障害者だから聴覚障害者標識を付けなければならないということではなく、
あくまで「10メートルの距離で90dBの音が聞こえない場合」聴覚障害者標識の表示義務が課されます。

日常的に補聴器を使ったり人工内耳を使っている場合、
ほとんどは10メートルの距離で90dBの音は聞こえると考えられます。

よって、聴覚障害者だからといって表示する義務があるのではなく、
補聴器や人工内耳装用していない人や、付けていても警音器の音が聞こえない場合は、
表示する義務があります。

みみなびのメンバーは重度の聴覚障害者ですが、
普段は補聴器や人工内耳を装用しているためこの聴覚障害者標識の表示義務がある人はいません。

聴覚障害者標識を購入できる場所はどこ?

一般的にはお住まいの都道府県の運転免許試験場で販売されています。
都内であれば「鮫洲運転免許試験場」や「府中運転免許試験場」で販売されています。

またAmazonなどでも600円程度で購入することができます。

 

聴覚障害者標識を付けている車に割り込みをしていいの?

聴覚障害者標識を付けている車は初心者マークを付けている車と同様に、
他の車は「保護義務」が課されています。

そのため「幅寄せ」や「割り込み」をすることは禁止されています。
なお、法律では道路交通法第71条第5の4項には以下のように定められています。

下記の標識を取り付けて運転している普通自動車(表示自動車)に対して、他の自動車が、幅寄せをし、または表示自動車の進路上の前方に車間距離不保持となるような状態で進路変更をした場合には、初心運転者等保護義務違反となる。ただしその行為が危険防止のためやむを得ない場合を除く。(道路交通法第71条第5の4項)

聴覚障害者標識を付けている車に警音器を鳴らす?

Yahoo!知恵袋において面白い質問がありました。
ある方が教習所で試験問題の答えについて聞いていました。

その問題とはこんな問題です。

「聴覚障害者マークが付いてる車に対して警音器を鳴らした。○か✗か」

ぜひ、みなさんも一緒に考えてみてください。

免許を持っているみなさんにとっては簡単でしたでしょうか?聴覚障害者の皆様はいかがでしょうか。
「いや、知らなかった!」という人も少なくないのではないでしょうか。

聴覚障害者標識を付けている車を見かけた際は、
ぜひ道路交通法を守って安全運転をお願い致します。

答えは最後にご紹介します。

聴覚障害者が運転でできること・できないこと

ほとんどの聴覚障害者は健常者と同じ免許取得が可能です

https://ohmiminavi.co.jp/2018/08/01/driverslicense/

以前、聴覚障害者が運転免許を取得できるのかということについて、
かわちめくんが記事を書いてくれました。

今では前述の警音器の条件さえクリアーすれば、
路線バスやトラックなどの「第2種大型自動車免許」も取得できます。

ろう者のバス運転手としては、松山さんという方が活躍しています。
松山さんの記事はこちら

聴覚障害があることで運転中に困ること

運転免許は健常者とほとんど同じように取得できますが、
実際問題として難聴・聴覚障害があることで問題もある場合があります。

ひとつは、「運転中にほとんど会話ができない」ということです。

手話は視覚情報に頼りますので運転との両立はほとんど不可能です。
会話をしながら運転することを「ながら運転」といいますが、
これにより事故等を起こした場合は「自動車運転処罰法」によって厳しく罰されます。

とはいえ、普段家族や友人とのドライブでまったく話さないと言う人は少ないでしょう。
しかし、手話での会話は完全に不注意運転の原因になるのでもってのほかです。

こうした運転をする方は癖になっているため事故が多い場合もあります。

もし、手話をしながら運転することがあるという方は、
これを機に絶対にしないようにしてください。

ちなみに障害の有無を問わず運転中のスマホなどによる事故は毎年2千件、19件が死亡事故です。
またハンズフリー通話やカーナビの利用も厳禁です。

まとめ

聴覚障害があっても自動車の運転免許の取得にはほとんど問題がありません。

一方で、補聴器等を装用しても警音器の音が聞こえない場合は、
普通自動車免許の取得はできますが、大型自動車免許などの取得はできません。

また、聴覚障害者標識の表示が義務付けられます。
聴覚障害者標識を表示する際は車の「前後」に見えるように表示しましょう。

この聴覚障害者標識はAmazonでも購入できますし、
お住まいの都道府県の運転免許試験場で購入ができます。

近年では聴覚障害者のプロ運転手も生まれるなどできないことが減ってきました。

一方で手話等で会話をしながら運転をすることはよほど必要な時以外は禁止と考えて良いでしょう。
これは健聴者であっても同乗者と会話すること自体、ながら運転とされるのと同様です。

運転中はできるだけドライブに集中して安全運転をお願い致します。

【正解は「✗」】

 

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