【解説】聴覚障害者の自動車免許の事情って?どういう条件を満たせばいいの?

聴覚障害者の自動車免許

こんにちは、かわちめです。
このページでは聴覚障害者の自動車免許について下記の順にお話ししたいと思います。

聴覚障害者は普通自動車を運転できる?

聴覚障害者でも普通自動車を運転することはできるのでしょうか?

結論から言うと、聴覚障害者であっても条件を満たすことで普通自動車を運転することができます
この条件は障害の程度によって異なり、下記3つに大別されます。

軽度
(日常的に補聴器を使用していても)補聴器なしで10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえる方です。
健常者の方と同じように無条件で運転することができます。
中度
補聴器ありで10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえる方です。
運転時に補聴器を装着することを条件に、健常者の方と同じように運転することができます。
これは眼鏡と同じ扱いで、発行された免許証の “免許の条件等” の欄に「補聴器」と記載されます。
重度
補聴器ありでも10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえない方です。
クラクションの音が聞こえないので、他の2つと異なり特殊な条件を満たした上で運転することができます。
詳しくは次の項で説明します。

自身がどの程度にあたるのかは、自動車教習所や運転免許センターで適性検査を受けて確認することができます。

重度聴覚障害者が運転するための条件

補聴器を装着していても警報機の音が聞こえない方であっても、下記の2条件を満たすことで普通自動車を運転することができます。

条件1:特定後写鏡の装着
特定後写鏡とはワイドミラーや補助ミラーとも呼ばれる、バックミラーやサイドミラーで見えにくい部分を見えやすくするものです。
大きさについて明確な規定はなく、運転する車の大きさに合わせてなるべく後方視野の死角がなくなるようなものであれば良いようです。
条件2:聴覚障害者標識の表示
聴覚障害者標識は他の車の運転者に自身が聴覚障害者であることを知らせるマークです。
この聴覚障害者標識を自動車の前後に装着する必要があります。

この標識を装着した車に対して、周囲の運転者は下記の配慮をする必要があります。

  • 聴覚障害者標識を表示した車に対する幅寄せ・割込みの禁止。
  • 周囲の運転者は、聴覚障害者が警音器の音では危険を認知できないことがあることを理解するとともに、必要に応じて徐行・減速を行う。

この条件で免許を交付されている方が違反した場合、罰金や反則金の対象になるので注意してください。

補足

「補聴器をつければクラクションが聞こえるが、補聴器なしで運転したい」という方もこの条件になります。
ただし、既に取得している免許証の条件を勝手に変更できるわけではなく、運転免許センターで臨時適性検査を受けて安全教育を修了する必要があります。

聴覚障害者が取得できる免許の種類

上記までは普通自動車について説明してきましたが、普通自動車以外も運転できるのでしょうか。
これは、障害の程度によって取得できる免許の種類が異なります。

補聴器をつければクラクションが聞こえる方(軽度・中度)は、第二種免許も含めて全ての免許証を取得することができます。
一方で、補聴器をつけてもクラクションが聞こえない方(重度)は第二種免許を始めとして、一部の免許は取得することができません。

補足

第二種免許とは乗客を運ぶ目的で旅客自動車を運転するためのもので、バスやタクシーの運転手に必要な免許です。
2018年には路線バスを運転をしている聴覚障害者の男性がニュースにもなりました。

身体障害者の運転免許取得費用助成

聴覚障害者に限らず、身体障害のある方が自動車の運転免許を取得する場合、自治体の補助・助成制度を活用できる場合があります
これはお住まいの地域によって異なるので、自動車教習所に通う前に各自治体の窓口へ問い合わせをすることをお勧めします。

まとめ

聴覚障害の程度によって条件や取得できる免許の種類に違いはありますが、普通自動車免許や自動二輪免許など一般的な免許は取得することができます。

健常者に比べて周囲の状況を把握しにくいというハンデはありますが、ワイドミラーで死角を少なくしたり、聴覚障害者標識で周囲の配慮を求めることができます。
とはいえ、これだけで安全・安心というわけではないので日頃から安全運転を心掛けましょう!

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